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第二十一条その3

1 集会、結社及び言論、出版その他一切の表現の自由は、これを保障する。

2 検閲は、これをしてはならない。通信の秘密は、これを侵してはならない。

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司法書士試験・行政書士試験受験対策☆憲法条文解説↓

1 知る権利の意義
「知る権利」とは、国民が情報源から自由に情報を受け取り、又は情報の開示を要求する権利をいいます。
そもそも表現行為は情報の「送り手」と「受け手」の双方から成り立ちますが、個人が情報の送り手にもなれば受け手でもあった時代(情報の送り手と受け手に互換性があった時代)においては、表現行為は専ら「表現の自由」として保障していれば十分でした。
しかし現代社会のように、情報が国家やマスメディアに集中し、個人が専ら情報の受け手の側に回る時代(情報の送り手と受け手の分離の時代)では、受け手の側の「知る権利」が重要な意味を持つようになったのです。知る権利の保障もなければ表現も不十分なものとならざるを得ないからです。

(イ)知る権利の法的性格
①知る権利の自由権的側面
知る権利は、国民が情報を収集することを国家によって妨げられないという自由権としての性格をもちます。

②参政権的側面
個人がさまざまな事実や意見を知ることによってはじめて有効に政治に参加できるという意味で、参政権的な役割をもちます。

③請求権的側面
国家に対して積極的に情報の公開を要求する請求権的性格をもちます。知る権利は、国家による情報の集中という状況から主張されたものだから、この請求権的側面が中心となります。

(ロ)請求権的側面における具体的権利性
知る権利は、国家などに対する情報開示請求権であるという点に大きな意義がありますが、しかしそれは抽象的な権利に止まり、それが具体的権利となるためには、請求権者、請求手続、開示を求めうる情報の範囲、請求が拒否された場合の救済方法などが法令によって制定されなければならないと解されています。この考え方から現在では「情報公開法(行政機関の保有する情報の公開に関する法律)」や各地方の「情報公開条例」などが定められています。

【注】 「抽象的権利」とは、たとえば21条を根拠にして具体的に国に対して請求することはできず、具体的な立法を待ってはじめて請求できる権利ということです。

2 アクセス権(知る権利とマスメディア)
「アクセス(接近する)権」とは、情報の受け手である一般国民が、情報の送り手であるマスメディアに対して自己の意見の場を提供することを要求する権利(意見広告や反論文の掲載、番組への参加など)をいいます。
知る権利は、政府に対しては情報の開示・公開を請求する権利(政府にアクセスする権利 として主張されますが、報道機関に対しては他人の知る権利に役立たせるため、自己の意見を報道するよう要求する権利(マスメディアにアクセスする権利)としても主張される。しかし具体的アクセス権も21条から直接導き出すことは困難で、それが具体的権利となるためにはやはり法令の制定が必要です。

☆日本共産党が自由民主党の意見公告により名誉を毀損されたとしてサンケイ新聞に反論文を無料掲載させるよう主張した事件。
判例は、反論権の制度は、名誉、プライバシーの保護には役立つが、「新聞を発行・販売する者にとっては、反論文が誤りであると確信している場合でもその掲載を強制されることになり、そのための紙面を割かなければならなくなる等の負担を強いられる」ことになり、「その負担がことに公的記事に関する批判記事の掲載をちゅうちょさせ、憲法の保障する表現の自由を間接的に侵す危険につながるおそれが多分に存する」。「具体的な成文法がないのに、反論権を認めるに等しい反論文掲載請求権をたやすく認めることはできない」(サンケイ新聞意見広告事件・最S62.4.24)。

反論権法の制定は、報道機関の編集の自由を侵害し、批判的記事の掲載を差し控える萎縮的効果をもたらす可能性があり、また裁判所が反論文の掲載を命ずる道を開くことは、報道機関の報道の自由を国家が規制することにならないかといった問題があります。

3 報道の自由と取材の自由
(イ)報道の自由
「報道の自由」とは、事実を知らせる自由をいいます。国民の知る権利は多く、報道機関の報道を通じて充足されるから、報道の自由は21条1項によって保障されると解されます。

☆米原子力空母寄港に反対の学生と機動隊の衝突事件の現場撮影TVフィルムの提出が裁判所により命ぜられた。これが放送会社の報道の自由を侵害するとして争われた事件。
「報道機関の報道は、民主主義社会において、国民が国政に関与するにつき、重要な判断の資料を提供し、国民の「知る権利」に奉仕するものである。したがって、思想の表明の自由とならんで、事実の報道の自由は、表現の自由を規定した憲法21条の保障のもとにあることはいうまでもない」(博多駅TVフィルム提出事件・ 最S44.11.26)。

(ロ)取材の自由
「取材の自由」とは、報道すべき生の事実に接し、これを獲得する自由をいいます。取材の自由も報道の自由の一環として21条によって保障されます(学説)。取材は報道の自由にとって不可欠な前提であり、国民の知る権利を充足するためには、取材活動の自由が確保されなければならないからです。しかし判例は取材の自由については21条で保障されるとは言わないで「憲法21条の精神に照らし、十分尊重に値する」というに止まります。

☆博多駅TVフィルム提出事件。
「報道機関の報道が正しい内容をもつためには、報道の自由とともに、報道のための取材の自由も、憲法21条の精神に照らし、十分尊重に値するものといわなければならない」。
同判例は続けて「しかし取材の自由といっても、もとより何らの制約を受けないものではなく、たとえば公正な裁判の実現というような憲法上の要請があるときは、ある程度の制約を受ける」として、取材の自由と公平な裁判の実現とを秤にかけて比較衡量する。そうして「公正な刑事裁判を実現することは、国家の基本的要請である。このような公正な刑事裁判の実現を保障するために、報道機関の取材活動によって得られたものが、証拠として必要と認められるような場合には、取材の自由がある程度の制約を被ることとなっても已むを得ないところというべきである」としたうえで、公平な刑事裁判の実現に対して、片方はすでに放映済のものであり、将来の取材の自由に対する影響としては、妨げられるおそれがあるにすぎないとして、提出命令は合憲だと結論づけた(博多駅TVフィルム提出事件・ 最S44.11.26)。

☆アメリカ人弁護士レペタ氏が裁判傍聴の際にメモを採ることの許可を求めたが認められなかった。そこでメモを採ることは知る権利を行使することで21条で保障されているとして争った事件。
「傍聴人が法廷においてメモを取ることは、その見聞する裁判を認識、記憶するためになされるものである限り、尊重に値し、故なく妨げられてはならない」「メモを取る行為が・・・公正かつ円滑な訴訟の運営を妨げる場合には、それが制限又は禁止されるべきことは当然である。・・・しかしながら傍聴人のメモを取る行為が公正かつ円滑な訴訟の運営を妨げるに至ることは通常はあり得ないのであって、これを傍聴人の自由に委せるべきであり、それが憲法21条1項の規定の精神に合致するものということができる」(法廷メモ採取(レペタ)事件 ―― 最H元.3.8)。
この事件では、「裁判の公開」の規定(憲82)から、メモを取る自由が保障されているという主張もなされたが、判例は「裁判の公開が制度として保障されていることに伴い、各人は、裁判を傍聴することができる」が、それは「各人が裁判所に対して傍聴することを権利として要求できることまで認めたものではない」し、「傍聴人に対して法廷においてメモを取ることを権利として保障しているものでもない」とした。裁判の公開は制度的保障の規定であって人権規定ではないから、ここからメモを取る権利が人権として保障されていると考えることはできないとした。

(ハ)取材源の秘匿
「取材源の秘匿権」とは、取材源の開示を強要されない権利をいいます。これも21条によって保障されているとする学説が有力です。取材源の秘匿の保障があって正確な情報が得られることがあり、それによって国民の知る権利も充足されるからです。新聞記者が法廷で取材源について証言を求められた場合、証言拒否権(取材源の秘匿権)が認められるかというかたちで問題となりますが、判例はこれを否定します。

☆新聞紙上に公務員が守秘義務に違反して秘密を漏らしたと推測できる記事が掲載された。検察官が記者の出廷と証言を求めたが拒否されたので、記者が証言拒絶罪(刑訴161条)で起訴された事件。「一般国民の証言義務は国民の重大な義務である点に鑑み、証言拒絶権を認められる場合は極めて例外に属するのであり、また制限的である」。憲法21条は「一般人に対し平等に表現の自由を保障したものであって、新聞記者に特種の保障を与えたものではない。・・・取材源について、公の福祉のため最も重大な司法権の公正な発動につき必要欠くべからざる証言の義務をも犠牲にして、証言拒絶の権利までも保障したものではない」(石井記者事件・最S27.8.6)。

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