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第十二条

 この憲法が国民に保障する自由及び権利は、国民の不断の努力によつて、これを保持しなければならない。又、国民は、これを濫用してはならないのであつて、常に公共の福祉のためにこれを利用する責任を負ふ。

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司法書士試験・行政書士試験受験対策☆憲法条文解説↓


●1 人権と公共の福祉
個人の尊重という観点から認められる人権ですが、他の人権との調整のため制約を受けることがあります。
 たとえば表現の自由があるからといって、他人のプライバシーの権利を侵害することができないのは当然でしょう。憲法は、人権には「公共の福祉」による制約があると規定しています(12・13・22・29)。
 
 公共の福祉とは人権相互の矛盾・衝突を調整を意味します。公共の福祉による制約はすべての人権に内在しています(通説)。
 自由権を各人に公平に保障するために制約を根拠づける場合(自由国家的公共の福祉)と社会権を実質的に保障するために自由権の規制を根拠づける場合(社会国家的公共の福祉)とがあります。

2 人権の限界と違憲審査基準
公共の福祉による人権の制約が認められるとしてもどのようなルールで制約が認められるのか問題となります。特に、人権制約立法の合憲性判定基準が問題となります。

(イ)比較衡量論(利益衡量論)
比較衡量論とは、人権の制限によって得られる利益と失われる利益とを比較し、前者の利益が大きい場合には人権を制約する立法も許される(合憲)とする審査基準をいいます。

⇒◆批判
しかしこの基準は一般的に比較の準則が明確でなく、特に国家権力と国民との利益の衡量が行われる憲法の分野においては、概して国家権力の利益が優先する可能性が強い。

☆東京拘置所に勾留・収容されていた被疑者が新聞を私費で定期購入していたところ、よど号ハイジャック事件の新聞記事が塗りつぶされて交付されたので、知る権利を侵害したとして争った事件。
「逃亡ないし罪証隠滅の防止又は内部の規律及び秩序の維持という在監目的達成のため、必要かつ合理的な範囲内において一定の制約が加えられることは已むをえない」。その制限が是認されるかどうかは「右の目的のために制限が必要とされる程度と、制限される自由の内容及び性質、これに加えられる具体的制限の態様及び程度等を較量して決せられるべきものである」(よど号ハイジャック記事抹消事件・最S58.6.22)。

☆教科書検定が表現の自由を侵害するかが争われた事件。
表現の自由も「公共の福祉による合理的で必要已むをえない程度の制限を受けることがある」。その制限が右の限度のものとして許されるかどうかは「制限が必要とされる程度と、制限される自由の内容及び性質、これに加えられる具体的制限の態様及び程度等を較量して決せられるべきものである」(第一次家永教科書事件・最H5.3.16)。

(ロ)二重の基準論
二重の基準論とは、精神的自由を規制する法律の合憲性の判断基準は、経済的自由を規制する法律の場合よりも厳しい基準で合憲性を審査すべきとする理論をいいます。

同じ人権であっても、精神的自由権と経済的自由権とで合憲か否かの審査基準が異なるのは、以下の理由からです。

①経済的自由については、民主制の過程が正常に機能している限り、それによって不当な規制を改廃していくことが可能です。それに対し、精神的自由が不当に制約されると、民主制の過程そのものが傷つけられている(不当な規制に対する反対意見がいえないので改廃できない!)ので裁判所が積極的に介入して民主制の過程自体を回復させる必要があるという理由です。

②また、経済的自由を制約する法律は、経済政策・社会政策に基づいて作られることが多く、裁判所は政策判断には不向きであり、国会の判断を尊重せざるを得ない。それに対し、精神的自由の規制については政策的判断は必要でなく、裁判所にも判断能力があるという理由です。

3 特別な法律関係における人権の限界
 在監者や公務員などは、一般国民と異なる特別の人権制限が許されると考えられています。ここでは在監者を取り上げます。

  在監者が特別な人権制限をうける根拠は、憲法自身が在監関係を認めており(18・31条)、その目的を達成するためには、一定の人権制限が必要されるからで、人権制限は在監目的を達成するために必要最少限度にとどまると考えるのが有力説です。

 ☆公職選挙法違反で逮捕された者が、刑務所内における喫煙禁止に対し、自由及び幸福追求の人権を侵害するものだとして争った事件。
「刑務所内では、被拘禁者の身体の自由を拘束するだけではなく、必要な限度においてその他の自由に対する合理的制限を加えることも已むをえない。この制限が「必要かつ合理的」なものであるかどうかは、制限の必要性の程度と制限される基本的人権の内容やこれに加えられる制限の具体的態様との較量のうえに立って決せられるべきである。喫煙の禁止という程度の自由の制限は必要かつ合理的なものと解するのが相当であり、憲法13条に反するものではない」(被拘禁者の喫煙禁止事件・最S45.9.16)。

☆よど号ハイジャック新聞記事の監獄長による抹消事件。
「未決勾留は、逃亡や証拠隠滅の防止を目的とする限度で、身体的行動の自由を制限されるのみならず、それ以外の行為の自由も制限されることは已むをえない。監獄長の抹消処分が許される限界については、監獄内の規律及び秩序の維持にとって障害が生ずる相当の蓋然性が認められる場合には、それを防止するために必要かつ合理的な範囲で閲読の自由を制限することができる」(最S58.6.22)。

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