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第二十二条

1 何人も、公共の福祉に反しない限り、居住、移転及び職業選択の自由を有する。

2 何人も、外国に移住し、又は国籍を離脱する自由を侵されない。

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1 居住・移転の自由の意義
「居住、移転の自由」とは、住所又は居所の決定・移転をする自由をいいます。

封建制度下、土地に縛られていた農民が解放され、自由に移転して労働者となれたことが資本主義経済の前提となったという歴史的沿革から、居住・移転の自由は経済的自由の一つに位置づけられて来ました。しかし、人は移転の自由を通じてさまざまな情報を獲得し、人格を形成していくことから、精神的自由権としての性格ももちます。

そこから、居住・移転の自由を制限する法令の違憲性審査基準としては、規制が経済的自由の側面にかかわるときは緩やかな審査基準でよいが、精神的自由の側面にかかわるときは厳格審査基準によるべきだとする考え方が出てきます。

(イ)海外渡航の自由
①海外渡航の自由の憲法上の根拠
一時的な海外渡航(外国旅行)の自由の保障の根拠はどこにあるのか争われますが、22条2項の「移住」の自由により保障されるとする説が判例・通説です。

22条2項で国外移住の自由を保障したものですが、永住を保障し、一時渡航を保障しないとするのは不自然なので、移住の自由には一時渡航の自由も含まれると解するのです。

②海外渡航の自由制約の合憲性
海外渡航の自由を制限するのは旅券法です。海外渡航には旅券の所持を義務づけ、「著しく且つ直接に日本国の利益又は公安を害する行為を行うおそれがあると認めるに足りる相当の理由がある者」に対しては、外務大臣は旅券の発給を拒否できるとします(旅券13条)。

これが違憲ではないかが争われていますが、判例は合憲とします。

☆元参議院議員帆足(ほあし)計氏がモスクワの国民経済会議出席のため旅券の発給を求めたところ拒否された事件。
「憲法22条2項の「外国に移住する自由」には、外国へ一時旅行する自由を含むものと解すべきであるが、外国旅行の自由といえども無制限のままに許されるものではなく、公共の福祉のために合理的な制限に服するものと解すべきである」
「旅券法13条の規定は、外国旅行の自由に対し、公共の福祉のために合理的な制限を定めたものとみることかでき・・・右規定が漠然たる基準を示す無効のものであるということはできない」(帆足計事件 ・ 最S33.9.10)。

2 職業選択の自由
「職業選択の自由」は、自己がいかなる職業につくかを選択する自由だけでなく、その選択した職業を遂行する自由(職業活動の自由、職業遂行の自由)すなわち「営業の自由」を含みます(判例・通説)。自ら選択した職業を遂行できなければ、職業選択の自由を認めた意味がないからです。営業の自由も憲法22条1項により保障されていると解されます。

(イ)営業の自由規制の合憲性審査基準
判例は、営業の自由を規制する法令の合憲性の審査基準をその規制目的により次の二つに区別します。

(1)消極目的(警察目的)の規制
生命・健康・安全の保護のために必要な規制を「消極目的規制」といいます。この場合にはその規制が「必要かつ合理的」かどうかで合憲性を判断する。合理性の基準の中でもこれを「厳格な合理性の基準」といいます。この規制は政策的なものではなく、裁判官にも十分判断できる事柄だから、合憲性を厳しく判断していこうとするものです。

具体的にはより緩やかな制限で消極的・警察目的が達成できる場合には違憲となります。

(2)積極目的(政策目的)の規制
社会政策、経済政策(特に社会的・経済的弱者保護)のために必要な規制を「積極目的規制」といいます。この場合はその規制が「著しく不合理であることが明白な場合」に限って違憲となります(明白性の基準)。政策目的による規制は裁判官の判断能力が十分でないので、国会の判断を尊重し、著しく不合理であることが明白な場合だけ違憲とするものです。

☆薬事法の「適正配置のための距離制限」」規定により知事から薬局開設不許可とされた者が、当該規定は憲法22条1項に定める営業の自由を不当に制約するものだとして争った事件。
「職業は、本質的に社会的相互関連性が大きいので、職業の自由は、精神的自由に比較して公権力による規制の要請が強い」「職業の許可制は・・・職業の自由に対する強力な制限であるから、その合憲性を肯定しうるためには、原則として重要な公共の利益のために必要かつ合理的な措置であることを要し、またそれが、社会経済政策上の積極的な目的のための措置ではなく自由な職業活動が社会公共に対してもたらす弊害を防止するための消極的・警察的措置である場合には、その合憲性を肯定しうるためには・・・職業の自由に対するより緩やかな制限・・・によっては目的を十分に達成することができないと認められることを要する」。
「薬局の適正配置規制は、主として国民の生活及び健康に対する危険の防止という消極的・警察目的のための規制措置である。・・・不良医薬品の供給防止という立法目的は、より緩やかな規制手段である行政上の取締の強化によっても十分達成できるから、違憲である」(薬事法違憲判決・最S50.4.30)。

☆小売市場開設の距離制限(知事の許可を要する)に違反して小売市場を建て、これを賃貸した者が小売商業調整特別措置法違反で起訴された。そこで同法の許可制や距離制限の規定が憲法22条1項に反するとして争った事件。
「憲法は、全体として福祉国家的理想のもとに・・・国の責務として積極的な社会経済政策の実施を予定している。個人の経済活動に関する限り精神的自由等に関する場合と異なって、右社会経済政策の実施の一手段として、これに合理的規制措置を講ずることは、憲法が本来予定し、かつ許容するところと解される」。
「個人の経済活動に対する法的規制措置については(社会経済の実体についての正確な基礎資料が必要であり、その判断は立法府こそがその機能を果たす適格を具えた国家機関であるから)立法府の政策技術的な裁量に委ねるほかはなく、裁判所は立法府の右裁量的判断を尊重するのを建前とし、ただ、立法府がその裁量権を逸脱し、当該法的規制措置が著しく不合理であることの明白である場合に限ってこれを違憲とするのが相当である」。本件規制目的は、経済的弱者である小売商を過当競争による共倒れから保護するという積極目的の規制であり、合憲であるとした(小売商業調整特別措置法事件・最S47.11.22)。

【ポイント】同じ距離制限なのに、薬局は違憲、小売商は合憲とされています。薬局の方の規制は消極目的規制で、小売商の方の規制は積極目的規制というところからきています。薬局の規制をしている薬事法jが合憲性の判断が厳しく問われたからです。

☆酒類販売の免許申請をしたところ、所轄税務署長に「経営の基礎が薄弱である」として拒否された。そこで酒類販売業の免許制及び免許要件を定める酒税法の規定は憲法22条1項に反するとして争った。「租税法の定立については、立法府の政策的・技術的な判断にゆだねるほかはなく、裁判所は、基本的にはその裁量的判断を尊重せざるを得ない」「租税の適正かつ確実な賦課徴収を図るという国家の財政目的のための職業の許可制による規制については、その必要性と合理性についての立法府の判断が、政策的・技術的な裁量の範囲を逸脱し、著しく不合理なものでない限り、憲法22条1項に反しない」(酒類販売免許制事件・ 最H4.12.15)。

⇒園部裁判官補足意見が言うように、この場合は積極目的とも消極目的とも性格を異にします。そこで判例は積極目的か消極目的かを明示することなく、税政策については裁判所の判断能力は十分でないから立法府の判断を尊重して、国会の判断が「著しく不合理である場合」に限り違憲となるとしました。

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